願いの後先(6)












「食後のデザートなんてどう?」
ウエイトレスにメニューを差し出され、思わずカガリはそうだなと思案する。
「俺はコーヒーで。カガリは?」
「私か?」
そう言うとカガリはメニューをばーっと読んだ。
「ミリィがそう言ってくるの珍しいね」
アスランはウエイトレスの格好をしているミリアリアにそう言葉を付け加えた。
記念式典の特別会場の近くにはいくつかの喫茶店などがある。
中の一つにミリアリアがバイトしている喫茶店があった。
ミリアリアは現在学校に行きなおしている。やはり勉強がしたいのだと言って。
3年ほど働いていた仕事もやめ、今は学校に復帰し、キラがヘリオポリスにいた時に通っていた学校のゼミ――カトウゼミで再度やっていると聞いている。
「そうねー、ちょっと用事があったって言うのもあるかな」
「用事?」
「ここ最近、キラに会った?」
単刀直入にミリアリアは二人に尋ねる。メニューを見ていたカガリの視線が不意にぶつかった。
「どうか、したのか?」
アスランは真剣な眼差しでミリアリアを見遣った。
「ん。ディアッカがラクスの様子がおかしかったって言うから……」
そこでミリアリアも言葉を濁す。アスランはカガリに視線を送り、カガリもまたアスランを見遣った。
「ラクスが、か」
アスランはぽつりと呟く。元婚約者であったアスランだ、何か思うところがあるのかもしれない。
「何かわかるのか?」
「いや、ラクスの様子がおかしいとなったら、もしかすると、キラじゃなくてラクスに原因はあるのかも」
「どういうこと?」
ミリアリアはさっぱり状況がつかめず、アスランに問い質す。
「俺らもさっき言ってたんだ。キラの様子がおかしいって。いつもラクスが来る時ってキラは事前に知っていただろ?」
それは紛れもなく周知の事実。
「そうね。確かに知ってた……ってキラ知らなかったの?」
ミリアリアは素っ頓狂な声を出して、しーっとカガリとアスランに窘められた。えへっと言って笑って誤魔化す。
「ああ。さっきカガリがラクスが来るってことを言ったら、『そうなんだ』って言ってたし」
「そっかぁ」
ミリアリアは納得するとまた一つ考え込む仕草をした。
そうか、そう言うことねとミリアリアは呟いた。
「あ、ミリィ。私はチョコレートパフェで」
カガリが思い出したように注文を催促すると、ミリアリアははっと現実に引き戻されたようにメニューを受け取る。
「あ…はいはい。チョコレートパフェとコーヒーですね。かしこまりました」
そう言ってミリアリアは二人の元を離れた。奥の厨房に注文をかけると、考えながら空いた席の片付けを始めた。
ミリアリアの脳裏には一つの答えが導かれる。



あれから、もう5年………。



ふとそんな言葉が浮かんだ。
あの時からもう、5年と言う歳月が流れている。
自分ももう20歳を超えた。



トール……キラは大丈夫よね?



5年前に亡くなった自分の想い人に問いかけながら、自分の中の不安を露にする。




お願い、キラを守ってね。


そして、私のことも守って……トール……。




窓の外は暑く、いい天気だ。
今日も日当たりは良好――――。