同窓会ー見知らぬ友人ー 3

















言葉、それ自体に含まれる意味は多大にある。
花宮雅子はそんなことを思いながら、ぼんやりと机の上に置いてある教科書と、その間に挟まっている便箋を見つめていた。
誰が、どういう目的で送ってきたかはわからない。
差出人のない手紙と言うのはすごく不気味なものだと一人ごちる。

「私が聞きたいわ・・・・・・・」

呟く言葉に自分自身のどうしようもない不安の気持ちをぶつけるも、それを返す術はない。
一つの言葉を反芻しながらため息をつく。

何で、今頃。

今更なのに、どうして自分に宛てたものがくるのか。
わからない、その言葉だけが頭の中を占めていた。
夜風の涼しい風が少しだけ伸びた髪の毛をさらりと揺らしていた。





世の中わからないことだらけだ、と思うのはユキこと由紀夫だった。
風呂から上がって、冷蔵庫の中に入れてあった麦茶を取り出してコップに入れる。
ぼんやりとそれを眺めながら入れた麦茶をぐいっと喉に流した。
少しだけからりとしていた喉が潤う。

二年前のことは確かに覚えてる。

けれど、あれで終わったのではなかったのか?
兄貴も、まあも玲も、津村も、加トも溝口もそれぞれの道を歩いている。
あの時確かに言ったんだ、まあが。

『私たちは確かに扉を開けたんだよ』

って。
その言葉に玲や兄貴が頷いてるのを見たんだ、と呟いた。
未来への扉を開けたはずなのに。

どうして過去に囚われるんだろう。

一人ごちて窓を開けた。
空には幾つもの星が輝いているのを見て、変わらないものだってあることに一人気づいていた。






眠れないな、と静かな夜更けに布団をあけた。
少しだけ熱さが残る部屋はもう夏が来るのを暗示している。

忘れたわけじゃないんだ。

いつだって忘れたことはない思い出の一つ。
多分いつもそこだけは光り輝いているだろうと思う。
それぞれの道を歩いている友人達の顔が蘇っては消えていく。

そう言えば最近全然玲と会ってないな。

一人ごちる言葉に苦笑いを浮かべた。
いつか母に指摘されたことが蘇る。

『あなたは意外と玲ちゃんに頼ってるのよ。玲ちゃんを大切にしなさい』

最初は何のことかと思ったけれど、今ならよくわかる。
俺は案外玲のこと頼りにしてるし、頼って欲しいと願っていることを。
そろそろ訪れる夏を目の前にしてそんなことを思いながら、窓から差し込める光が机を照らす。
その机の上には二通の手紙。



『あなたにならわかるでしょう?7月7日の意味を』


じっと見つめる先には何があるのか。
自分自身に問う言葉に返す答えはない。


忘れるはずもない、サヨコ伝説。
また俺はそれに囚われるのだろうか――――。










+あとがきもとい呟き+
まあ、ユキ、秋の呟きです。次は誰か、わかりますね?
もちろんあの人の登場です。