無事送り出して、翌日。オケ部の練習があるからと学校を訪れた。
午前中はずっとパート練習。
部長の「一回ここで休憩」と言う言葉を聞くと部員達は颯爽と、皆ランチタイムへと駆け出していく。
私は誰かと食べる、なんて気分になれなかったから一人で廊下を歩いていると、一つの教室から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
顔を覗くと、土浦梁太郎と冬海笙子の姿。
気づいた二人が私の表情を汲み取って、すぐ教室に招き入れた。
どうしたんだよ、そう言った土浦くんの顔を見つめた後、笙子ちゃんの顔を見て事情を話し始めた。
「で、そんなしけた面してるって訳か」
理由を聞いて、苦笑いしながら土浦くんは私を見る。隣で笙子ちゃんが大丈夫ですか?と尋ねた。
「笙子ちゃん〜〜〜、いい子〜〜〜〜」
笙子ちゃんの頭を撫でながら、無言で土浦くんの顔を見る。土浦くんは一つため息をついた。
「ったく、一ヶ月だろ」
「わかってるわよぅ」
「でも、香穂先輩の気持ち、わかります。私も、離れ離れになったら、嫌・・・ですし・・・・・・」
顔を少し赤らめて、土浦くんからの視線から逃げるように瞳を逸らす。
横目で見ると俄かに土浦くんの頬も赤くなってるような・・・・・・。
くすっと笑って、また真剣な目で笙子ちゃんに尋ねた。
「笙子ちゃんもそう思うでしょ?」
「はい」
そんな私たちのやり取りを見て、土浦くんは言葉を呟く。
「今頃火原先輩も同じような状態だろうな」
土浦くんの顔が苦笑いの度をさらに深めた。
そう、なのかな?
淋しいって思ってくれてるのかな。
「それより、土浦くんは練習いいの?」
サッカー部の練習だったはずだ。
ユニフォーム着て、教室で笙子ちゃんと話をしてるところにたまたま私が出くわしただけで。
二人の時間を邪魔して、今更ながらに悪かったかな、と思う。
「俺はいいんだよ。今丁度休憩時間だから」
「ふーん?」
ちらっと時計を見て、確認する。まぁ、どこもかしこも今は丁度昼食タイムだろうし。
「二人ともお昼は?」
「購買にするつもりだ」
「そっか。私も買いに行こう」
そう言うと笙子ちゃんが「一緒に行きましょう」と笑顔を向ける。
笙子ちゃんの笑顔を見るとかわいいなぁと呟きたくなる。
こんなとこに土浦くんは惚れたのかしらと小首を傾げた。
「日野、置いて行くぞ。早く来いよ」
「あ、待ってよー」
二人に話を聞いてもらって、少しだけ心が軽くなる。
午後からの練習、頑張ろうっと。
ぼんやりと思いながら、財布を持って二人の後を歩き始めた。
今頃、和樹先輩は何をやってるんだろう――――・・・・・・?
エントランスをくぐり抜ける手前でそんなことを思った。
夏休みはそうやって過ぎていくものかもしれないなと思う。