02. 背中


私はその背をずっと追い続けて。
ずっと届きそうで届かないその背中を。
私も彼もあの頃みたいには戻れないのだから――――――。



中学を卒業して、高校に入って。
別々の道を歩いている幼なじみは今も囲碁を打ってるに違いなくて。
あーあ。
って思ってしまう。
小学校までは歩く歩幅も距離も同じだったのに。
いつの間にかかっこよくなっちゃった。
私だけ置いていかれたみたいに。
でも私は才能も何もなくて。
ただ平凡な日々を過ごして。
でも。
たまに、ごくたまに。
ちょっと特別なことがあると浮かれている自分がいるのを自覚している。
ほら。
そこに、いるんだもん。



教室の窓からあの黄色の髪を見つけ、私は慌てて鞄を持った。
「あかり?」
親友の声を背に聞きながら軽く「ごめんね!先帰る」と言って走る。
その後ろからくすっと笑う声が聞こえたのは多分気のせい。
周りも私の慌てように驚いてこっちに視線を集めつつ。
明日は覚悟しなきゃなと心に決めて。



「ヒカル!!」




息を切らしながら校門の前に着くと。
ちょっとばかり不機嫌な顔で「遅せぇ」と文句を言う。
「ごめんごめん」
そう笑って、行こうと指先で示すとそれに倣って。
ヒカルが前を歩いて。
私はその少し後ろを歩いて、その背中を見つめてる。
がっしりとしたその背。
異性なのだという自覚をさせられる。いつから、こんな風になったっけ。
私よりもいつの間にか身長も伸びちゃって。
顔つきもすっかり良くなっちゃった。
かっこいいなぁ。
なんて思うのはやっぱりこうやってたまに会うとき。

「あかり?」

ヒカルが訝しげな瞳で私を映していた。

「ううん。何でもない」

首を横に振って、いつの間にかだいぶ紅く染まった夕陽が影を長くしている。
この背を追い続け。
そしてこの先もそれは変わらない。
何十年先も。
ずっとずっとその先でも――――。





*あとがき*
再upです。なかなか好評でした、この話。
いつの間にか成長していたヒカルを見つめての、あかりちゃん視点。
まぁ、後日談は皆様のご想像にお任せします。
多分みんなの予想することと一緒だと思いますよ?(笑)