02. 拍手短編集
(まじ快編)


【ごちそうさま1(快青)】



まったくもってそんなつもりはなかったのに、と一人心の中で呟く。
気づいた時には自分自身、逃げていることに気づいた。

「バ快斗っ!出てきなさいよー!!」

彼女の叫び声が遠くから響き渡る。何せここは廊下。
嫌でも声が聞こえて仕方ない。


事の始まりはささいなこと。
青子が悪いのだ、と舌打ちしても多分あの状況じゃ軍配は青子に上がる可能性が高い。
青子が悪いのだ。
急に顔を前に出してくるから。
いつまでたっても恋人だと言う自覚がないから。

だから―――――・・・・・・。


気づいたら青子の唇を奪っていた。
小さくキスをすると青子の顔は見る見るうちに顔を赤らめて。
別にキスをするのははじめてじゃないのに。

「ごちそーさん♪」

そう言うと青子の罵声が飛ばないうちに、その身軽な身体を盾にして逃げていた。
後ろから「バ快斗――っ!!」と叫ぶ声が響いていた。




(続く)



【ごちそうさま2(快青)】



何なの、何なの、何なの。
快斗は確かに青子の彼氏だけど。

でも。

人前でキスすることないじゃないっっ!!

青子、すごく恥ずかしかったんだから!と、一人心の中で文句を言う。
まだ顔を赤くしたまま、立って。
いつものパターンだと多分まだこの辺にいるんだろうなことぐらいは予想ついた。
幼なじみで、いつも隣にいたから。
行動パターンだってわかっているつもりだ。
けれど、今の自分じゃ見つけられないのは快斗自身、逃げるのが上手いせい。
あの幼なじみは、小さい頃から逃げるのだけは上手かった。

いつも、いつも青子が快斗の後を追いかけるにしかすぎなくて。

多分この先もあの背を見ていくんだと思うと、なぜか少し悔しかった。
でもあの幼なじみは必ず待っていてくれることもわかってる。
余裕ある笑みをこぼしていてくれることも。


「バ快斗・・・・・・ずるいよ・・・・・・出てきなさいよ・・・・・・」


呟きながらにじむ瞳の光るものを抑えた。
カタンと前方から音がした。
影が現れ、いつの間にか俯いていた自分の顔を上げる。
その先にいたのは。

――――あの幼なじみだった。






※3のログがなかったため、これにて終了。

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