【誘惑(新蘭)】
今の状況がわからない。
頭の中は真っ白だった。
「ちょ……ちょ、ちょちょちょちょっ!」
「言っとくけど、誘ったのは蘭だからな」
新一は間髪入れずに答えを返す。
「さ、誘ってなんか……」
これは何?
何で私は天井なんか見てるの?
新一に手を抑えられてるの?
「ぷっ」
いつになく真剣な瞳だった新一の目が細くなる。
似合わない声に、私はどう対応していいものか迷った。
「あはははははは……」
声を上げて笑いながら私の手を離した。
腕が解放されて私はソファに座り直す。
新一はまだ笑ってる。
「ちょっと! 新一!」
「あはははは…悪りぃ、つい面白くって」
くすくす笑う新一を見ていると起こる気力も失せてきてしまい、身体の力が抜けた。
「もう」
一言呟きながら、結局新一には敵わないのだと思った。
終