切に願う
私はいつだってあなたに微笑んでいて欲しいから。
かもめが鳴き、空は茜色に染まっていくのを私はじっと見つめていた。
『オーブの立場も厳しい』
世界の情勢は極めて微妙になってきたとこの間カガリが一言漏らしていたのを覚えている。
私も、そして隣にいたキラも何も言葉を残すことはなかった。
また再びこの世に災いと、そして悲しみと、憎しみが交差するのだろうか。
私達の選んだ選択肢は間違っていなかったと、そう思いたかった。
「願う未来は、皆一緒ですのに・・・・・・」
小さく呟く言葉に返す言葉はない。
と、いつの間にか私の後ろにキラが立っていることに気づいた。
「キラ?」
私が尋ねると、「うん?」と優しく微笑む。
幾分か優しく笑うようになったキラの表情がまた、曇る日が来るんだろうかと思うと、きゅっと胸を締めつけられた。
私では、あなたの代わりにはなれないのでしょうか。
いつだって待つ側の人間。待つ時間がひどく遠く感じられるあの嫌な空気。
それでも待つと、帰ってくると信じていた想い。
「ラクス・・・・・・外、出ようか」
「ええ」
にっこりと微笑んで、二人でテラスへと出る。
もうすぐで嵐がやってくるのかもしれない。
今がその前の静けさと言ったところなのだろうか。
この人はきっと呼ばれる。
キラ自身の業なのだろう。
私は、その時どうしているのか、それすらわからない。
行かないでと願っても無理な話。
それでも繋ぎとめておきたいと思うのは私のワガママなのだろうか。
「ラクス」
「はい」
「僕は、行かないよ」
「―――――え?」
「まだ、行かない」
「キラ・・・・・・」
自分の思ってたことがわかってしまったのかと思うと何も言えなくなってしまう。
危惧することはないと、キラは優しく諭すと言うのに。
「もう少しだけ、信じたいんだ」
そっと静かに呟かれる言葉にはっとした。
――――自分の信じた未来を。
キラがそう思っていることが嬉しいのと同時に、切なくて。
私もそう思いたい、願いたいと。
「そうですわね・・・・・・私も、信じたいですわ」
茜色の海が蒼く染まっていく。
空も藍が混ざり始め、これから夜の世界を創り出そうとしていた。
今、まさにこの時。
私も、キラも、まだ未来を知らない。
自分達がどうなるかもわからない。
傍にいる喜びを噛みしめ、静かに微笑んだ。
終
デスティニーネタ第二弾。
今回は通常更新の方で書いてみました。二人の想いはどうなるのでしょうか。
この辺の空白の二年間を『プロローグ』にて書く予定です。
楽しみにしてて下さいませ。