背中





「何で男の人の背中は大きいのかなぁ?」





突然言い出した彼女の言葉に驚いた。
今アークエンジェル内の食堂にはミリィと俺の二人きり。
俺の背中にミリィがもたれたかと思ったらいきなりこんなことを言い出したのだ。



「ね、トール。何でだと思う?」



背中にもたれたままミリィは再度尋ねた。




「うーん」




俺は唸る。
そんなこと急に言われてもわかんないよ。




「でもね。私男の人の背中好きなの。がしっりしてて、かっこいいもん」




「へぇ〜。ミリィってばそんなこと考えてたの?」



俺は驚いた。
と、同時に自分はどういう風に思われてるのかすごく気になり始めた。
そんな自分の思ってることがわかったのか、ミリィはくすっと笑ってこう続けた。




「私、トールの背中好きよ?『ああ、この人なら私頼ってもいいな』って思うの。預けてもいいって」




「ミリィ……」




何て言っていいのかわからず、言葉が続かない。
少なくてもミリィがそう思ってくれてたことが嬉しくて。
少しホッとした。








ゴホッ。
突然聞こえる音。
食堂の前にはフラガ少佐がいた。
慌てて俺とミリィは背中を離す。
と、同時に恥ずかしくなってきた。



「ったく、こんなとこで見せつけてくれちゃって〜」




そう言うと少佐は遅い食事を摂り始めた。



「あ、いけない。もう交代だから行くね」



そう言ってミリィは食堂を後にした。
「じゃあ、俺も……」と言って食堂を離れようとしたら。
突然、腕を掴まれて。

「さぁ、トール・ケーニヒ2等兵。白状してもらいましょうか」

ニヤリと笑いながら少佐は言った。
あぁ、逃げられそうにもない……。
俺は頭を垂れて黙って少佐の指示に従った。
しばらく食堂はにぎやかな声がこだまして。
たまたま通りかかった副艦長にこってりしぼられたのは言うまでもない。








『トールの背中好きよ』







そう言ってくれたミリィの言葉がしばらく頭の中から離れず。
と同時に自分は幸せモノだと実感する。




彼女を守れる、そんな奴になりたい。






改めてそう決意する自分がいた―――。







END