その名を口にする時


シンの呟いた名に覚えがあったから。
あたしはどうしていいのかわからなくて、複雑な気持ちになった。





気を失ったシンを抱きかかえてあたしはその場に座った。炎が吹き上がり、それをじっと見つめる。この戦いの終焉はもうすぐそこまで来ているのだと実感していた。


「ステラ・・・・・・」

呟かれた名にはっと息を潜めた。
シンが口にしたのはわずかだがミネルバで拘束していた連合の捕虜の名。
今シンはどんな想いでその名を口にするのか。
それと同時に複雑な想いがあたしの周りにまとわりついた。
シンが大事にしていた少女。
あたしはその間に入ることなんてできない。

「シン・・・・・・」

シンが起きる様子はなく、あたしはまた吹き上げる炎を遠くから見つめる。

「あたしは『ステラ』にはなれないから」

あたしはあたしだ。ステラではない。シンはあたしを見てくれている?

「あたしのこと見てね」

それは切実な想い。気づいてしまった本当の気持ちからは逃げることなどできはしない。だからせめて願いを乞うだけ。
生きているから、だからできること。

「気づいて」

口ずさむように言葉を口にする。

「う・・・・・・」

シンの意識が俄かに動いたのを感じてあたしは名前を言葉にした。

「シン・・・シン」

「あ・・・・・・ルナ」

ぼんやりとしたその赤の瞳にあたしはちゃんと映ってる?
わかってくれている?
ゆっくりとその視線を動かしてシンはようやくその炎を目にする。


「オーブは撃たれなかった」


その言葉だけを呟くと理解したのかシンは涙した。あたしは抱きしめる。

「シン・・・・・・」

泣くシンに呼び寄せるように言の葉を紡いだ。
あたしはここにいる、だから。


泣かないで。





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シンルナですが、どちらかというとルナマリアの片思いちっくな話。結構好きですよ、シンルナ。いつかシンルナで話を書いてみたいなと思いつつ、書いてませんが(ディアミリでも同じこと言ってたような。
ルナにとってステラはある意味鬼門かなーと。ラクスにおけるフレイと一緒。でもルナは生きてるし、シンも生きてるからちゃんと今度はお互いを見つめることが出来るんじゃないかな。多分シンをそばで支えるのはルナだし。


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