ひたすら鍵盤の上で指を躍らせたかった。
何かにとりつかれたようにずっと弾いていたかった。


この熱が本物だという証明が欲しかった。




苦しかったのだ。






で るのは









私はあなたのことなどこれっぽっちも知らなかった。
だからなのかもしれない。


あなたの音色に惹かれてしまった。




とても切なくて、あたたかなメロディーに、恋焦がれてしまった。








「その曲は誰を想って書いたのですか?」

知らなければ傷つくこともないのに、その先を求めてしまう。

「君には関係ないよ」

突き放す言葉が彼女を苦しめてるとわかっていても、領域を汚されるわけにはいかなかった。





「私はあなたに演奏を頼みたいのです」

「どうして? それこそ稀にみる歌姫の演奏なんて諸手を挙げて喜ぶ人がいるでしょう?」

「私はあなたの音が好きだから、ですわ」

「そんなの同情にしか過ぎないよ」




どうして傷つく言葉ばかり言ってしまうのか。
お願いだから、領域を汚さないで、入ってこないで。

『フレイ』

僕は、君に―――。



「私は逃げたくなどないのです。あなたのことが、」

「僕は逃げてるって言うの?」

「あなたは臆病ですわ」

「そうかもね」


いつだって殻を作って閉じこもって。
『あなたはあなたの音を奏でて』
君も言ってたね、その言葉。僕にどうしろと、どう生きれと?



逃げないで、ちゃんと見て欲しい。
それは私の我侭ですか?




交差するそれぞれの想い。
叶うことなかった想いがキラを蝕む。
ラクスは傷つき、でもその中でたった一つの真実を見出した。





奏でるのはその想い。
恋焦がれるようなメロディーを紡ぎだす。