Always




願いは誰でも ひとつは叶うはず。

そう、願っていればいつか――――



「え?」


私はふいに振り向く。
雑踏の中に聞こえた、声。
懐かしい、今では決して聞くことのない声。
私は一人街中を歩いていた。
戦争が終わり、ようやく訪れた緩やかな時が流れる。
親に「少し出かけてきなさい。気分転換になるから」と言われ、家を出たものの行く当てなんてなく。
ただぼーっと街中を歩いていたのだ。
もう、私は大丈夫。
何度も言い聞かせてここまで来た。
あなたの分も生きるって決めた日から。
そう思って生きてきて。

そうしたら突然彼の声が聞こえてきたような気がして振り向いたのだ。
そんな。
嘘よ。
わかっていても、探してしまう。
たとえ幻であっても。


どこにいるの――――?


何てあるわけないか……。
肩を落とす。
ショーウィンドウに映し出される自分の姿。
いつもなら後ろか横にいた、あの人。
つい、思ってしまう。
わかっていても仕方のないこと。
立ち尽くす私を行き交う人は見てゆく。
何やってるんだか、私……。

幼い頃の私は自分の未来に対して、何の疑いもなかった。
好きな人に巡り会って、結婚して………。
そうやって未来のパズルを一つ一つピースを埋めていくのだと。
信じて疑っていなかった。

好きな人に巡り会って……そこまでは良かった。
ただ、その人が先に逝ってしまうのまでは考えていなかったのだ。
残された自分。
あなたのいない時間を感じる。
それでもだいぶ良くはなったと思う。
笑えるようにもなったし、一人で生きれるようにもなった。
あの人が私の前から消えた時、泣いてばかりで。


「未来は無限なんだ。出来ると思ったらやれるんだよ。希望さえ失わなければね」


彼が言っていた言葉が突然胸をよぎる。
いつか言ってたよね。
あの頃は無限だと思ってた未来。
でも、あなたはいないの………。
逢いたくて、泣き出しそうになる。
だけどどれだけ精一杯手を伸ばしても届かない、あなたの手。

日がだいぶ傾いてきて、少しずつ太陽が赤く染まっていく。
あぁ、あの時もそうだったっけ。
ふと呼び起される過去の記憶。確かAAに乗ってたとき。
二人で一緒にデッキで夕焼けを見た日を思い出す。
何も言わず、ただずっと夕陽を眺めて。
遠く映えているオレンジ色の空を見つめてた。
会話なんてなくても良かった。
ただ、その場にいれることが幸せだったから。
あなたの横顔、見てるだけで幸せなの。
その無邪気な瞳といつも変わらない意思の強さを、潮風の中で感じていられるのなら。

次第に街の灯りが暗闇を誘う。
いつか。
誰でもいつかは幸せになれるのだと、そう言った彼。

アナタハシアワセデシタカ―――――?

私と一緒にいて、楽しかった?

嬉しかった?

幸せだった―――――?

少なくても私は幸せだったよ。
あなたの隣にいることで、いつも勇気貰って。
元気を貰って。
優しさを貰ったから。
誰でもいつかは 幸せになれるよね?
たとえあなたが今隣にいなくても。
きっといつかまた巡り会えるよね。
その時はまたあなたの隣にいたいな。
つないだ手を離さずに、笑顔忘れずにいたい。



ね、いいよね?トール。




END