I wish
「ん?何だ、コレ…」
探し物をしていた時、ふと硬い物が手に当たる。
「あ…これは…」
出てきたのは、オルゴールだった。そういえば、壊れていたので直そうと思っていて、すっかり忘れていた事に気付く。
ふと、あの優しい歌声を思い出す。オルゴールの音色の様に繊細な歌 ────
「あの人にあげようかな…」
ピンクの髪がふわふわとなびく、笑顔が優しい少女、ラクス。
キラは、ラクスの歌が好きだった。聞いていると済んだ歌声が、安らぎを与えてくれる。
「頑張ってみるか…」
「キラ〜!いる?」
ドアのノックされる音で、キラは顔を上げる。ふと時計を見ると、あれから随分時間が経っている事に気付く。
「はい!」
慌ててドアへ向かうと、ドアにはミリアリアが立っていた。
「何?」
「うん。艦長が明日の9時にミーティングだってさ。私交代だから、ついでに言いに来たの。」
「判った。わざわざありがとう。」
ミリアリアは「いーえ、どういたしまして」と言った後に、キラの机に細かな部品が並んでいるのが見え、不思議そうに問い掛けてきた。
「何してたの?」
「え?あぁ。ちょっと修理をね。オルゴールなんだ。」
ちょっと気恥ずかしそうに答えるキラに、ミリアリアはニタ〜と笑う。
「それってもしかして、プレゼント?」
誰に贈るかは、ミリアリアには見当がついていた。
「ち、違うよ!壊れてたから、直そうと思っただけだよ!」
真っ赤になって弁解するキラがおかしくて、つい、からかいモードへと発展する。
「皆まで言うな!ミリアリア様には全て判ってるからv 」
「違うって言ってるだろ!」
尚も否定するキラに、「はいはい」と言いながら笑うミリアリア。
「でもさ、ホント、プレゼントって良いと思うよ。だって、ある意味捕われてると同じだもん…」
急にしんみり言うミリアリアに、キラは言葉に詰まった。
「こんな形じゃなく出会えたら、友達になれたかもなって…」
少し寂しそうに微笑むミリアリアに、キラも笑みを返す。
「そうだね…」
「きっとそれ贈ると、喜んでくれるよ!」
気を取り直すかの様に明るく言うその言葉が、キラには嬉しかった。
「だと良いけどね。」
「ごめんね、引き止めちゃって。じゃ、確かに伝えたから!」
「ありがとう、ミリィ。」
じゃーね!と言うと、ミリアリアは部屋へと戻っていった。
「よし、頑張るか!」
ミリアリアの言葉を受けて、俄然やる気を出しながら、作業は黙々と進められていった。
取れかかっていたネジを一つずつ丁寧に止めていく。
あの花が綻ぶ様な、笑顔が見たいから……
「出来た!」
随分と掛かってしまったが、何とか完成した。時計を見ると、午後11時を指していた。
散々迷ったが、起きていたら渡そうという結論に達し、キラは部屋を後にした。
コンコン。
部屋をノックすると、スッとドアが開く。
「キラ様!どうしましたの?」
ラクスは、嬉しそうにキラを部屋へ招き入れる。
「済みません、こんな夜分に。どうしても渡したい物があって…」
「?私に下さるのですか?」
キョトンと首を傾げるしぐさに、キラはドキっとする。
「えっと…これを…」
ポケットからオルゴールを取り出すと、ラクスへ手渡す。
「まぁ!キレイなオルゴール!頂いても宜しいのですか?」
ぱぁっと花が綻ぶ様な笑顔に、キラはかぁ〜っと顔を赤くする。
「えぇ。迷惑でなければ…」
「迷惑だなんて!嬉しいですわ!ありがとうございます、キラ様!」
受取ったオルゴールを、大事そうに胸に抱きしめる。
「実は、今日は私の誕生日ですのよ。」
「え !? そうだったんですか?」
全く知らなかったキラだったが、知っていればもう少しまともな物を用意したのにと、後悔した。
「済みません…そんな物しか用意できなくて…」
「とんでもありませんわ!こんなステキな贈り物、嬉しいです!」
ニッコリ微笑むと、ラクスはオルゴールの蓋を開ける。優しい調べが、部屋を包み込む。
「そのオルゴール、小さい頃好きだったんです…」
懐かしそうに目を細めるキラに、ラクスも微笑む。
「そんな大切な物を頂いてしまって、宜しいのですか?」
「えぇ。貴女に持っていて欲しいんです…
ここでは貴女は窮屈な生活だと思うので、せめてそれで少しでも心が癒されてくれればって思って…」
言っていて照れてしまい、キラは顔を赤くする。
ラクスは、そんなキラを、温かい笑顔で見つめた。そして、オルゴールに目を落とす。
「優しい曲ですわね… 聴いていると、心が落ち着きますわ…」
目を閉じ、静かに音楽に耳を傾けるラクスの姿に思わず見とれる。
「僕は、貴女の歌もこれと同じで、キレイだと思いますよ…」
ラクスは閉じていた目を開けると、キラの方を見、ふんわり微笑む。
「嬉しいですわ… キラ様といつでも一緒に、こうしてゆっくりと過ごす時が来る良いですわね…」
「えぇ…」
今は戦いの日々だが、いつか、そう言う日が来る事を切に願う。
いつも隣で微笑んでいて欲しい、温かい笑顔の少女。
「きっと、来ますよ…」
「そうですわね…」
キラは、時が止まった様なゆったりとしたこの時間に、何時までも浸っていたかった…
それが出来ない事は、自分自身が一番判っている。
だが、今だけは、このままでいさせて欲しい……
僕はそう願う… 大切な時間だから……
END
+きゃ〜!!「Wind Chime」 の蒼ちゃんから貰ってしまいました!
2周年記念の小説vキララクがとても可愛いです♪
頂いちゃってどうもです。ありがと〜vv