秘密ね、そう小さな声で囁いていたそんな頃はとうに越していたけれど。
「玲ーっ」
「今行くってばー!」
年月が経てば互いの培ってきた時間も違うもので。
それが男と女であれば尚のこと。
新しい制服、新しい季節、ちょっぴり大人になっていく自分達。
けれど、互いに流れる時間は一緒だから。
追いついた足でその腕をぐいっとひっぱると秋のバランスは悪くなる。
「ちょ・・・っ」
少しだけどきどきさせてやりたくて。
耳元で囁いた言葉に、思わず顔を赤らめる。
「 」
へへっと笑って秋を置いて先を歩いた。
「・・・・・・それは卑怯だろ」
秋の小さな問いかけは玲の耳には届かない。
秘密の言葉を囁いて。
共に過ごした年月を重ねてゆく。
「玲っ!」
顔に朱を走らせて、秋はその背中を追いかける。
「待たないよー!」
玲の明るい声が返ってきて秋は目を細めた。
高校入学初日、入学式前のちょっとしたひととき。
終