「玲、前に言ってたことあったよな。俺に何かあったら玲が守ってくれるって」
橋の真ん中で秋と立ち止まる。
ふと過ぎる、過去の自分と秋とのやりとり。
『だったら私が守るよ。秋が本当に、本当に危険な時は私が必ず秋を守る』
確かに言った。
秋に。
「言った。覚えてる」
私は言う。
「けど、本当に危険な場所は自分で歩かなきゃだめなんだ」
同じ方向で見ていた秋が背中を向けた。
私は秋の方へと向き直る。
「頼るなってこと?秋にはもう……」
ドキドキした。
こんなドキドキ初めて。
「ああ。俺も頼らない。だから、俺のことももう、玲が守ってくれなくていい」
拒絶。
目の前が真っ暗になった感じだった。
「そんな……何言ってるの?秋までそんな……」
ショックだった。
秋との帰り道、言われたことが。
どうしていいかわからなくて秋の前から走り去る。
どうして?
なんで、秋まで。
津村さんも。
私はどうすればいいの?
津村さんも秋も私から離れていかなくなるの?
どうしてみんな私を置いていくの?
それだったら――
私が追いつけるように。
みんなに追いつけるように。
答えを見つけるために。
扉を開くために。
自分ひとりの力で乗り越えよう。
自分を見つめて。
ひとりで乗り越えるべき壁だから。
自分を見据えて。
しっかりと――。
終