黒と茶の幻想
最初の印象は「分厚い本」でした。講談社からでる本ってみんな分厚いですねぇ…。
ある意味読者泣かせです。学生は辛いっす。なので、図書館から借りました。(すいません^^;A)
この本の丁装好きです。
渋めの色合いに内容とマッチしていて、とても好きvvそれでいてシンプル♪
話は40代を目前に控えた男女4人、利枝子、彰彦、蒔生、節子が今の家族や仕事と関係のない旅。
『美しき謎と過去への思索の旅』を始めるところから始まります。
4部構成で各章ごとに語り手が変わっていきます。
第1章は「利枝子」、第2章は「彰彦」、第3章は「蒔生」、第4章は「節子」。
『三月は深き紅の淵を』や『麦の海に住む果実』でおなじみ、梶原憂理が出てきます。
(恩田先生は他の作品に出てきた人たちがちょこちょこ出るので好きですね〜v)
実はこの憂理のその後がこの話のキーパーソン。
憂理は利枝子の「親友」で、利枝子の彼氏の蒔生が憂理を好きになり三角関係になってしまいます。
この三角関係、精算されますがこのことにより4人にちょっとしたわだかまりとなって今に至るのです。
このわだかまり―「過去」を思索するため旅に出る4人。
最初の「利枝子」の章は最初なだけあって謎が多いです。
次に「彰彦」、「蒔生」が「利枝子」に出てきた謎の補足と解決いったところでしょうか。
最後に「節子」の章は今までの謎の精算ですね。ちなみに私は一番「節子」の章が好き。
節子のさばさばとした性格と考え方がこの最後の章をクリアに写してくれます。
私が節子の会話で好きな部分を挙げていきたいと思います。
「あのね、あたしがオープンマインドだとか部下の性格云々の問題じゃないの、組織として、その方がずっと能率的だからそう主張してるだけのことで」
この部分は私がすごく納得した部分なんです。仕事をいかにこなすか、それは組織に属してる以上、自分の主張もそうだけれど、どう効率的に動くか、だと私は思うんですよね。それが一番わかる部分でした。
「でも、男の人って本気であんなこと考えてるのかな――血に関して言えば、男の方がこだわりが強いよね。女の人って、自分の子供は可愛いけど、自分の子孫だからじゃなくて、自分が生んだからだよね。孫が可愛いのだって、自分の生んだ子供が生んだからだわ」
この会話って何の変哲もない文ではありますが、私にとっては目から鱗でした。
頷いたと同時に驚いたって言うか、言葉に表せないくらいです。それぐらいびっくりした。
確かにそうかもしれない、女ならではの思考の部分だなって思っています。
他にもありますが、とりあえずこの二つの文章だけ。
4人の「過去」と「現在」にそれぞれの思惑が重なり良い味が出てると思います。
それぞれの登場人物の気持ちになれてとても面白い作品じゃないでしょうか?

特に言えるのは、これを読んでからまた数年後に読むと味わい深いってことですね。

関連小説:『麦の海に住む果実』、『三月の深き紅の淵を』
「黒と茶の幻想」上・下/講談社文庫
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