15. そいね(添い寝)
気づけばその人は自分の隣で肩を寄せていた。
ぼんやりと瞳を開いて太陽の光を慣らすために瞬きをゆっくりと繰り返すと、肩に重いものがあることに気づいてシャーネは思わず見遣る。
そこにあったのは見慣れた赤い髪の毛。思わずほっと息を吐いてシャーネは盗み見た。
確かに寝ている時、何か重いものが肩に乗っかったという自覚はあったのだが、すぐに危険なものではないことを身体が受け止めたため、それ以上追求することはなかった。
だからだろう、この存在に気づくことができなかったのは。
言い換えてみればその存在を自分自身が受け入れていることになる。父と同じくらいに大切だと思える人。
(この人はどうして自分の傍にいるんだろう)
愛してるから、とか恥ずかしげもなく言うに決まっているのだが、それでもやはり不思議だと思うことに変わりはない。
一般的な恋人とか、恋とか言うものに自分達が外れているということくらいシャーネとて知っていた。
だが、この人の言動から嘘はなかったし、何よりも言葉を信じられると直感で感じたのは父以外で初めてだった。
シャーネ自身、声を紡ぐことはできない。不便だと思われることの方が多いのに、この人はすぐに自分が言っている言葉を理解してくれた。
それが、嬉しくなかったかと言えばウソになる。
「ん・・・・・・ああ、シャーネ、起きたのか」
眠そうな眼を擦りながらシャーネの肩を抱き寄せる。
(今日はどうして?)
シャーネの言葉を受け取った眠そうな青年、クレアはああ、と頷く。
「シャーネに会いたかったからに決まっているだろう。まぁ、それが一番なんだが、ジャグジー達に用があったんだ」
(ジャグジー達は出かけてる)
「みたいだな。まぁ、いい。その分だけシャーネと一緒にいられるからな」
恥ずかしげもなく言うクレアにシャーネの頬は俄かに紅く染まった。可愛らしいシャーネの反応にクレアの頬が緩む。
「シャーネは留守番か?」
こくりとシャーネは頷くとふぅん、とクレアは呟き、シャーネを抱き寄せる。
突然抱き寄せられたシャーネは驚きながら顔をそっと上げると、嬉しそうに笑う紅い瞳を見つけた。
「じゃあ暫くは誰にも邪魔されずにいられるってことか」
(・・・・・・?)
「いや、こっちの話。なぁ、シャーネ、何かするか?それとももう少しこのままでいるか?」
(・・・・・・もう少しこのままでいたい)
自然とクレアを受け入れている自分の言葉に内心驚きつつも、この人ならばいいと思っている自分がいる。
「そうか、わかった。俺はシャーネがいれば十分だ」
だから、とシャーネを抱き寄せながら耳元で囁く。
「もう少し二人で寝ようか」
小さく頷きながらシャーネはクレアの胸から響く心臓の音に耳を傾けていた。
なぜか落ち着く音にシャーネの瞳はゆっくりと落ちてゆく。
抱き寄せたままクレアもまたシャーネがうとうとしているのを確認すると自分も寝るかと瞳を閉じた。
二人きりの時間、まどろむ昼下がりのこと。
添い寝をする二人の姿があったとか。
二人の幸せそうな姿を知っている者は神様しかいない。
終
*あとがき*
バッカーノにはまった記念です(笑)。
これも別部屋できてたらすいません・・・・・・。多分ないとは思うんだけど。
でも何気にバカノは好きなキャラ多いし、可愛いカップルも多いのでいいなぁと。
で、一番好きなのはクレアです。だからクレシャ大好きv
そして森田さんヴォイスも素敵です。やばいわー、クレアの声は。
まだ小説は全部読みきってませんが、早く臨時急行編を読みたいなぁと思っています。