06. かみさま(神様)

神様。

あなたはいないとそう思っていたのに、最後に一つ残してくれたものがあった。



“希望”。



一つの光をあなたは私に残してくれました。











「柚香・・・君はもしや、泉水の子を・・・・・・」


はっとして自分のお腹に手を当てる。
自分ではわからない感覚。でもその瞳にはそれが恐らく映ってるのだろう。
揺るぎないそれが。

光が。


「先生と・・・私の・・・・・・?」

まさか、と思いながらでもこのお腹にもし小さな命が、あの人が残してくれた命の灯があるのならば、と柚香は思う。
思ったら不意に沸き立つような感情が次々と自分の中に生まれた。
わぁぁっと子どものように大きな声を挙げて泣く。
恐らくもうこれ以上泣くことはない、あの人を失った時から涙腺は緩んだままだけど。


『お前が好きだ・・・柚香』


今も耳に残る心地良い声が、優しい声が柚香の心を包み込む。


「先生・・・・・・っ!」


これからどうなるのかわからない。
でも一つだけ柚香にわかることがあった。
それは、外に出て、ここに宿る命を守らなければならない、それだけはわかっていた。
先生がいなくなった世界は暗くて、希望も何も見出せなかったけれど。
でも、神様は最後にはいたんだと思う。


『柚なんだから子どもは蜜柑だろ』


笑いながらそう言っていた言葉を思い出して苦笑いをこぼす。
あなたが残してくれた光を私は大事に育てたい。
そして自分達のような悲しい想いはさせたくない。

だから、どうか。


神様。


最後に一つの希望を残してくれてありがとう。

そしてその希望があなたのような太陽の光になってくれることを祈って。



ねぇ、先生。



私は生きてくよ。
この子を育てて、あなたみたいに明るい子になるように。




神様。


あなたは最後にいたんだね。


胸に刻まれた傷を包み込むように、その光を宿した自分のお腹を大事に覆う。
光が消えないように、必死に生きていこう、そう誓った。







『蜜柑』

あなたは、どうか幸せになりますように。
悲しい涙を流すことなく、まっすぐ育っていきますように。
あなたは私と先生の光だから。
神様がくれた最後の、『贈り物』だから。












*学アリはここ最近の展開がぐっとくるものが多くて泣きそうになります。
幸せになってほしいと思うんですが、どうなんでしょうか、先生(笑)。
蜜柑も棗も幸せになってほしいですが、柚香さんも幸せになってほしいなぁ。
みんなが幸せに笑ってくれればそれでいいです。