夏を終えたばかりの風が頬を撫で、御坂美琴は揺れる髪の毛を押さえた。
靡く髪の毛は黄昏の色に染まり、俄かに黄金色へと染まる。街は静かに夜へ染まり始めていた。
いつもなら茜色の空の下を歩いて寮まで向かっていただろう。だが、今日は違う。これから会う約束が入っていた。
美琴は携帯電話がブレザーのポケットの中で震えていることに気づくと、慌てて取り出す。
携帯電話が震えた理由は簡単だった。
『ごめん!あと10分くらいで着くと思うからもう少し待っててくれ。』
メールの送り主はきっと慌てながらキーを打ったのだろう。美琴はその光景が目の前に映し出されたかのように、小さく笑った。
そんなことわかってるから慌てなくてもいいわよ、と言いたいところだが、今日は素直にその言葉に甘えることにする。
待ってなくてもいいとか言っても絶対に待てる自信はあった。何よりも会いたいのはこのメールの送り主なのだ。
「素直に待ってるに決まってるじゃない」
苦笑する美琴は少し浮いた腰を再び落ち着けた。
少しばかり冷たい風も我慢できる。楽しみはすぐそこに待っているのだから。
美琴はオレンジ色の空を仰ぎながら一つ溜息を吐いて軽く瞼を閉じた。すうっと息を吸い込むと瞳をゆっくり開くのと同時に息を吐き出した。手には携帯電話を握り締めたままで。
「美琴ーっ」
自分の名前を呼ぶ音に惹かれて、美琴は視線を声のする方へと向けると駆け寄ってくる一人の青年の姿を見つけた。
思わず顔を綻ばせ、美琴もまたその人の名を口にする。
「当麻」
肩で息をしながら駆け寄る青年――上条当麻は手を振って美琴へ合図を送った。
美琴もまたそれに応えるように手を振って笑顔を見せる。
二人の距離を1メートル弱まで縮めると息を整えるため、上条は深呼吸をした。
「悪りぃ。遅くなった」
「いいよ。わかってるし。補習はどうだった?」
「まぁまぁ・・・だと思う。能力についてはあんまり意味がないとは思うけどな」
「アンタの場合、その右手じゃね」
苦笑しながらその右手を見つめる美琴に上条は軽く肩を透かした。
「で、今日はゲコ太のグッズ見に行くのか?」
ここ最近色んなところでゲコ太のグッズがタイアップされていたこともあり、ゲコ太のグッズを見に歩いていた。付き合いも長くなれば多少こういう自分の興味のないことでも付き合えるものだ。最近上条は気づいたのだが、美琴がゲコ太のグッズを見てる時ほど機嫌はすこぶるいい。自分の不幸が減るならその方がいいに越したことない。変なことでとばっちりを食らうよりはマシである。
上条の言葉に美琴は珍しく首を横に振って答えた。
「ううん、今日はいいや。それよりもアンタの補習の方がまずいんじゃないの?能力は仕方ないにしても、他は頑張らないと。だから美琴センセーが勉強を見てあげようと思って」
どう?と提案する美琴に上条は「え」と声を漏らす。
「どうせ宿題出てるんでしょ?だったら、私の受験勉強ついでにいいかもと思ってたんだ」
上条を待ちながら美琴は考えていた。美琴の受験まではもう半年ないし、そろそろもう少し真面目に勉強するかと思っていたのと、それなら上条の宿題も見てあげれば一石二鳥である。
「確かに勉強見てくれる方が助かるけど、お前は余裕だなー」
「私を誰だと思ってるわけ?学園都市に七人しかいないレベル5の第三位よ?」
「確かに能力は問題ねーもんな、お前」
「まぁね。どうせ私も復習になるから良いんじゃない、勉強」
「それは一理あるが・・・・・・」
何となく腑に落ちないのだろう、上条はやや眉間に皺を寄せて口をへの字に曲げたものの、まぁ美琴自身の復習になるのならばと言うことで二つ返事で返した。
「じゃあ、勉強はアンタの家ね。その前に夕食の買い物しちゃいましょ」
確か冷蔵庫にあったものってこうだったわよね、と住んでいる本人よりも詳しい冷蔵庫事情に上条は小さく笑う。
いつの間にかこれが当たり前になっていることが少しだけおかしくて、一人笑みを噛み殺す。
インデックスが一緒に住んでいた頃は二人で夕食の準備をすることもなければ、作ってくれることもなく、むしろ少ない家計費の中でどうやりくりするかが問題だった。美琴が隣にいるようになってからは一緒に食べるんだからと折半してくれたり、少ない家計費からどうするかを考える回数も減ったのだが。
「じゃあ今日は魚はどうよ? 秋だし、さんまが美味い季節だろ?」
「あ、それいいわね。大根おろし添えて焼き魚にしましょ」
うんうんと頷く美琴と上条は二人肩を並べて黄昏の街を歩いていた。自然と影が伸びてゆく。
他愛ない会話をしながら歩くのが今の二人の幸せだった。
そんな二人が歩いている先に、上条は見慣れた人を見かけて思わず声を挙げる。
「あれ? 浜面?」
「お。上条!」
「滝壺も。これから二人でどっか行くのか?デートとか?」
「まあな。デートならそれ以上に嬉しいことはねーけどよ。今日は麦野たちと合流する予定なんだ。それより、隣の・・・・・・」
上条の隣の存在に気づいて浜面は上条に尋ねる。上条はああ、と頷いて美琴を紹介しようと口を開きかけたのだが、滝壺の言葉に遮られた。
「あ・・・第三位」
「第三位?ってことは、レベル5?もしかして常盤台の御坂美琴?」
隣にいた浜面は目を丸くして美琴を見た。滝壺はこくりと頷く。
「へぇ、やっぱお前結構有名なんだな」
ふぅん、と顎をしゃくる上条に美琴は複雑そうな曖昧な笑みを浮かべた。有名であることが良いことなのか微妙な心境である。
「あ、ってことは麦野と互角に戦ったって言うあれか?」
ちらりと耳にした言葉を思い出して浜面が言うと小さく滝壺は頷いて答えた。
「そう・・・あの時はまだはまづらいなかったからわからないけど、きぬはたもフレンダもいた。むぎのは第四位だけど、結構押されてたから、やっぱり第三位っていうのはダテじゃないって」
そこはむぎのも認めてた気がすると滝壺は言う。滝壺の説明に困惑したのは美琴の方だ。
忘れもしない自分ひとりでもがいていた日々。毎日襲撃して、それでも計画は止まらなくて、絶対能力進化計画は次々と場所を変え、それを追ういたちごっこの構図だった。それを救ってくれたのが上条だ。計画の中心人物である一方通行を撃破した瞬間は美琴自身、今でもはっきり覚えている。自分が敵わなかった相手に上条は勝った。それは奇跡でもあったと今でも思う。でも絶対でも会ったような気がするのは美琴の胸の中にだけで留められた事項だ。そんな中で一方通行とは別に苦戦を強いられた戦いがあった。自分と根本的なところで似通っている能力。威力はレベル5だろうと予想したそれは美琴のランクの一つ下である第四位に属する人間だろうと後から考えたのだが。
「え。もしかして・・・・・・」
「あの時、私もいた」
頷く滝壺に美琴は顔を少し強張らせた。嫌でもあの時のことを思い出してしまう。だが、もう乗り越えたことだと美琴はきっぱりと切り捨てた。何よりもあれを否定してしまえば『妹達』らを否定してしまうことになる。
「あなたの能力って・・・?」
「『能力追跡』」
告げられた言葉に美琴ははっとする。あの時、ちらりと見えた顔と今の顔が被ったような気がした。
苦戦を強いられた戦いだった。美琴はああ、そうかと頷く。
「あの時の・・・・・・」
「なぁ、美琴。俺、話が見えないんだが?」
そこで漸く話に入って来れなかった上条が尋ねる。美琴はえーっとと言いにくそうに視線を明後日の方向へと向けた。
美琴の反応に上条は怪訝そうな眼差しを向ける。
「ああ、滝壺や麦野と戦ったことがあるんだよ。一年以上前か、あれは」
「そう」
「戦ったって・・・・・・みーこーとー?」
不穏な空気を察知した美琴は一歩後ろに下がったもののすぐに上条の手に掴まった。うう、と首を竦めて上条を見上げる。
「え・・・えへ?」
「えへ、じゃねー!!」
可愛く言ってみたのだが上条には通じなかったらしい。ひゃん、と首を竦めたまま「ごめん」と謝る。いつもは立場が逆だった。傷だらけになって帰ってくる上条に文句を言うのは美琴の方だったというのに。
静かな界隈に上条の声だけが木霊していた。
ぱちぱちとグリルの中で魚の焼ける香ばしい匂いが漂っていた。あの後浜面や滝壺と別れて火加減を見ながら美琴は口を尖らせながら言葉を口にする。
「だって、仕方ないじゃない。あの時はアンタいなかったし、自分で何とかするしかなかったんだもん」
「そりゃわかるけど、俺はそんな話聞いてないんですがね」
「うっ・・・!」
「いつも洗いざらい話しろーって叫んでるのはどこの誰かさんでしたっけ?」
「うう・・・・・・当麻のいじわる」
「いつもの仕返しだ。で?俺に言うことは?」
珍しく立場が逆転している二人だが、食事の準備をするのは美琴、宿題をこなしながら言うのは上条という構図は変わらない。
「ごめん・・・・・・」
「勘弁してくれよ。俺の知らないところでお前が戦ってるっていうのは、ちょっとな」
「何よ。いつもどっかの誰かさんは私のことほっぽって出かけるくせに。ついでに怪我までして帰ってくるくせに」
美琴の言葉に一理はあるが、それでも好きな人が傷ついてるというのは嫌なのだ。自分のエゴだとわかっていても。それを押し付けてることは十分分かってもいる。でも立場が違うのだと上条は思う。
「俺は男だからいいの。お前は女だろ。傷は作るなよ。お嫁にいけなーいっていっても知らねーぞ」
「な・・・っ! そんなこと言わないわよ・・・それに・・・」
「それに?」
ぱらりと教科書を捲る上条の後姿が見える。美琴は言いかけた言葉に躊躇いを覚えた。何となく言いにくい。さらりと簡単に言ってるんじゃないわよ、と胸の内で悪態吐く。ホント鈍感、と思いながら美琴は溜息を吐いた。
「・・・・・・何でもない。傷を作ろうが何しようが私の勝手でしょ」
ああ、またかわいくないこと言ったなぁ、またケンカになるのかと軽く項垂れながらしゃがみこんだ。上条からは自分の位置は見えないことを良いことに深く溜息を吐く。自分で分かっているのだ、こんなかわいくないこと言っても良いことはないと。でも勝手に口を突いて出る言葉なのだから仕方ない。
(どうせ可愛くないし、ついカッとなっちゃうし、嫉妬もしちゃうし、男勝りなこともしちゃうし、仕方ないじゃない、これが私なんだから。お嫁なんていうからちょっとだけ意識しちゃったけど、簡単に言うってことはアイツはそういうこと全く考えてないんだろうなぁ。私一人が浮かれてたってこと?まぁ、アイツ相手なら仕方ないか・・・アイツが想ってるよりも絶対に私の方が好きなんだろうなぁって思うし、それでもいいって思ってたし。でもちょっと凹む・・・・・・)
がくり項垂れている美琴の頭をぱし、と軽く叩く音がして、美琴は振り返った。叩かれた箇所を撫でながら美琴は不満そうに顔を上げる。
「何一人で考え込んでるんだよ」
「・・・別に」
むすっと不機嫌そうな表情を浮べて美琴は上条を見上げ、そんな美琴を見つめながら上条は肩を透かしてバカ、と一言呟いた。
「確かに傷を作ろうが何しようがお前の勝手だ。俺でも庇いきれねーものもある。でも、嫌なんだよ。俺の勝手だけど、お前が傷作ったりするのは」
「でも避けられないことだってあるかもしれないわよ?大怪我とかしちゃったら、アンタは別れる?」
「はあ?」
「だって、さっき・・・・・・」
お嫁にいけないとかいったし、と美琴は唇を尖らせながら視線を落とす。ああ、それで引っかかってたのかと上条は漸く美琴の言葉の意味に気づいて小さく笑った。何だかんだ言ってもやっぱり女なんだなと上条は思う。どちらかと言えばはっきりと男勝りなところもあり、姐御肌的なところも強いが、上条といる時の美琴は年相応の女性らしいところも多かった。
「ばーか。最初からそんなこと心配しなくていいって」
「え?」
恐る恐る美琴は顔を上げ、漆黒の双眸を見つめた。かかっと笑いながら上条は言葉を紡ぐ。
「お前は十分魅力的だしさ、そんな心配ないだろ」
「・・・・・・一般論よね、それ」
そうよね、アンタってそう言う奴だったわ、と美琴は菜ばしを持ちながら手を振るわせる。
あれ、チョイス間違えたか?と小首を傾げる上条に美琴はキッと睨み上げ、腰を上げた。
「当麻のばかぁぁぁぁぁ!!!」
電撃ではなく、拳を見舞わせた美琴はふん、と鼻息荒く仁王立ちをする。
分かってるわよ、自分だけが空回りしてることぐらいと内心思いながら美琴は軽く息を吐いた。
それでも家を出て帰ることはしない自分はまさに上条に振り回されていると同時に、どうしようもないくらい好きなのだと自覚していた。
殴られた上条はと言うと殴られた頬を擦りながら「美琴さんはなんでそんなに暴力的なんでせうか?」と文句を言う。
「それくらい自分の胸に聞いたら?」
美琴は良い焼け具合の魚を取り出し、皿に載せながら頬を膨らませる。
美琴の怒っている意味がわからないようで、でもわかりそうな気がして上条は不満そうな顔を出したままキッチンを出た。そろそろ夕食ができるのを分かったのだろう、素直に机の上を片付け始めている。
結局食べ始める頃は何事もなかったように食事が用意され、普通の会話をする、それがいつもの流れだった。
やっぱり上条に乙女な期待をしても無駄だと自覚するだけである。
夕食を食べ終え、カリカリと机の上にシャープペンの走る音だけが響いていた。
食器を洗い終えるとすぐに宿題に取り掛かった上条に、美琴は時折り口を挟みながら足りない部分を補う。
いつもの流れ、いつもの光景。でもどこかで何かが違っているようなそんな気がしていたのは美琴だけではなかったらしい。
上条はカリカリと鳴らしていたシャープペンを止めてぽつりと呟いた。
「『何が何でも滝壺だけは絶対に俺が守る』、浜面が言ったこと、俺すげぇなって思ったんだ」
「え?」
「たった一人の人のために戦うってなかなかできねーしさ。浜面に今日会ってそれを思い出した」
「・・・・・・そう」
美琴はただ一言頷くだけだった。美琴も美琴で浜面の隣にいた滝壺を思い出す。ピンク色のジャージを纏っていた華奢な女性。あの時、美琴の位置を察知し、それを軸に麦野は美琴に戦いを挑んだ。忌々しい思い出かもしれない。でも不思議と滝壺に怒りは覚えなかった。自分の中でちゃんと昇華できているのかもしれない。今があるのはあれがあったからだと。苦しかったし、何度も助けてと訴えていた言葉を受け止めてくれる存在がいることを知ったのもあの時だったから。
亡くなったものは取り戻せない。だからこそ生きるしかないのだ。そしてその背負った美琴の罪を別の形で返さなければならないと思っていた。本来の目的であった病気の治療のために。だからこそ美琴は勉強し、その先を見据える。
そして思う。滝壺は浜面に愛されているのだろう。浜面を見る瞳が優しかった。そして浜面も滝壺に見せる瞳が優しく柔らかだった。少しだけ羨ましいと思う気持ちは仕方ないのだと思う。
気持ちを押しとどめて美琴は正論を述べた。
「・・・・・・アンタだってたくさんの人守ってるじゃない。たくさんの人が感謝してる。それってすごいことでしょ」
だから誇ってもいいのよ、と美琴が言うと「違うよ」と上条は首を横に振った。
「俺にそれだけの覚悟があるかって言ったら多分ないんだと思う。けどさ、俺気づいたんだ」
「? 何を?」
「俺、みんなに傷ついて欲しくないのはもちろんだけど、お前にだけは絶対傷ついて欲しくないって思ってるんだ」
「・・・・・・当麻?」
言ってる意味が分かりかねたのだろう、美琴は小首を傾げていた。
「みんなはもちろんだけど、それ以上にお前には傷ついて欲しくないんだよ」
「当麻・・・・・・」
「お嫁にいけないとか言うなよ。もうお前の貰い手ぐらい決まってる」
「え?」
きっぱりと言い放つ上条に美琴の思考回路は止まる。
好きなのは自分だけだとずっと思っていた。期待してまた裏切られるのを考えると抱いた淡い期待はすぐに萎んだ。
「な、なによ。私は決まってないって。どうせいないもの」
「だから、決まってるだろ」
「誰よ、それ」
期待はするな、美琴は自分の心に言う。だが、言葉は止まるところを知らない。
上条もまた勢い余ってか、ぎゅっとシャープペンを握り締めながら答えていた。
「俺が貰ってやるって」
え、と今度こそ美琴は動きを止めてまじまじと上条を見つめていた。
嘘でしょ、と言わんばかりの言葉に上条は苦笑した。信じてねぇなーと小さく笑う。
「何、その上から目線・・・・・・いつから私はアンタのものになったのよ・・・・・・」
「この関係が始まった時からだろ」
しれっと言う上条に美琴はくしゃりと顔を歪め、頬を赤らめた。泣きそうになるのを堪える美琴の手を上条は静かにそっと握る。
まだずっと先の話だ。でも二人の間では気持ちは決まっていた。それぞれ決めていて、漸く互いの気持ちを合わせる。
「絶対に守れるって言う保証はないけどな。でもお前を守りたいって気持ちはあるんだ」
「・・・・・・ありがと。でも私は守られるよりも私もアンタを守りたいって思うわよ」
「だよなぁ。そういうところ、お前強いよ。だから絶対に守るって言えないんだよな」
「私は戦えるもの。アンタと一緒ならどこでも戦える。アンタを傷つける奴がいたら私は容赦なく傷つけること躊躇わない」
守り、守られる関係、それが自分達だ。
そんなことは最初からわかっていた。苦笑する上条に美琴はふふっと微笑む。
たくさんの涙を流した夜を越え、たくさんの困難に立ち向かい、追い詰められ苦しんだ日々も懐かしいと思える今。
季節は秋風が薫る頃、もうすぐ訪れる冬を待ちながら二人は共に歩く。
少し先の未来も、遙か先の未来も、気持ちが通い合った時からその気持ちはいつも隣にあった。
初めて本気で好きになった人を守りたいと願うから。
あなたがいるから私は私らしくいれる。笑っていられる。
美琴はそっと胸に仕舞った言葉を優しく唇で綴る。
「好きよ、当麻」
だから傍にいて。
笑ってくれたらそれだけで幸せだから。私は強くなれるから。
美琴の言葉に照れくさそうに笑う上条の姿があったことは言うまでもない。
終