小さい頃この手がとても大きくて心強かったのを覚えてる――――




「はぁ」



本日もう数十回となるため息をつく。
「何、ため息ついてるんだ」
そう言いながらもじっと本を読みふけるのは兄弟子であるネスティ・バスク。
彼に視線を合わせるも再びまた元の位置に戻した。
じっと自分の手を見つめて。
「手がねぇー」
「手が?」
「自分の手って小さいなって思って」
「はぁ?」
私の意図するものが読めなかったらしい。やや小首を傾げてでも視線の先は本のままで。

「ほら、私小さい頃よく怒られたでしょ。その時必ず隣にネスがいて、私の手を握ってくれたじゃない」
「それがどうかしたか?」
「握ってくれた手がすごく大きく感じて、温かくて、心地よくて、力強かったなぁって」
あの手に随分支えられたんだよなんて笑いながら。
すると突如彼の視線は本から私へと移った。

「それは僕も同じだ」

「へ?」

予想もしない言葉に私は目を疑った。
どうして?何で?
そんな言葉ばかり浮かんでしまう。

「この小さな手を握るたびに、自分もまた支えられていたんだ」

俄かに頬が染まるそれに、私はくすっと笑う。


何だ、ネスもなの。


手を繋げばその温もりが伝わってくる。
一人じゃないよって言われてるようで、嬉しくて。
頼もしくて、優しくて。
そっと彼のそばによって私は左の手を握った。


「ふふっ。ネスあったかい」
「当たり前だ。生きてるんだからな」
「もー。すぐそうやってムード台無しにする〜」
「君はバカか?」
「いっつもそればっか」

むぅ〜と口を尖らして、こんなやりとりがまた嬉しいなと思いながら。
もうすぐで冬が近づく、そんな寒い日のこと。
彼が戻ってきてからもう半年たったそんなある日。


彼の手が大きくて、それに支えられてるんだなぁなんて思った。



END