叫ぶ声はいつか















いつかは届くと、そう信じてる――――。




茜色に染まり始める街を窓の外から眺め、一つため息をついた。
そうしてやってくる闇を密かに見つめながら。
小さな頃、夜は恐かった。
近づく闇が恐かった。



一人だと知るのが恐かった。




「キール、難しい顔してる」


突如現れたハヤトの言葉にはっと現実に引き戻された。


「え・・・・・・あ、あぁ・・・・・・」

「いつもキールって難しい顔してるよな。何で?」

不思議そうに見つめるハヤトの顔が何だかおかしかった。
ハヤトは不思議と自分の中の何かを溶かす力を持っている。
どうしたんだよ、そういう瞳で見つめながら。

「何でって言われても・・・わからないな、自分でも」

「ふぅーん」

ハヤトの表情はころころと変わる。
見てるとあきないというか、羨ましくも感じた。

素直なその表情がいつか凍りつく日があるのだろうか。

もしそうだとしたらそれは自分がきっかけを作ってしまうのではないか。


覚悟を決めているのに、どうしても揺らいでしまう気持ち。
わかってるはずなのに、どうしても手放せない、そのぬくもり。


「なぁ、キール」

「うん?」

「明日出かけよう。少しだけのんびりしよう。二人で」


楽しそうに呟くその言葉に「そうだな」と静かに返す。
自分の中で渦巻く感情に、まだ気づかない振りをして。
少しでも隣にいたいと思うから。



自分の中でこんなにもハヤトの存在が大きいものになってるなんて思わなかった。
届くはずのない想い。
願う、その未来に、どうか笑顔のままで。


「ハヤト」

「ん?」

「川、行こうか。のんびり寝ていられる」

一瞬だけ、きょとんとした顔をして、でもその次には笑みがこぼれる。

「あぁ、そうしよっか」

そう言って笑うハヤトを見つめていた。



叫ぶ想いはいつか。


届くのだろうか。



――――届いて欲しいと、そう切実に思う。










*久々のキーハヤ。うん、久々にキーハヤになった。
まだこの時のハヤトはキールが無色の派閥の一員だとは知りません。
そんな時のキールの片想いです、片想い(爆笑)
やっぱいいよね、この二人。