ありがとう、の感謝の言葉を―――。
いつだってあなたに、大切なものを貰ってばかり。
心躍ることは多々あって、いつもその優しさやちょっとした瞬間のその笑顔にどきっと胸が高鳴る。それもこれも彼に出会ってからなのだということに気づいたのは、ささやかな時の刻みの中。
その瞬間に気づいてしまった自分の本当の想い。
ただ大事にその想いを抱えて目を細める。
そう、あなたの隣で歩いている今もそれは変わらない。
「あと必要なもの・・・、と」
「今日の夕食はレインが担当なのよね?」
「ああ。お前は何が食べたい?」
「私?」
「アンジェ以外に誰がいるんだ?」
くすくすと楽しそうに笑みをこぼしてレインはアンジェリークを見つめた。
アンジェリークは少し照れくさそうに微笑む。
「そうね・・・私、レインが作るものなら何でも好きなのだけど、敢えて言うならベジタブルカレーかしら」
「了解。アンジェの好きなもの作るよ」
「私の好きなので良いの?」
「ああ、アンジェだから良いんだ」
「じゃあ、私はそれに合うデザートでも作ろうかしら。カレーだったらアイスが良いわよね」
「良いのか?オレが当番だから・・・・・・」
言いかけた言葉をアンジェリークは遮って答えた。
「だって、私の好きなものを作ってくれるのでしょう?レインからいつも貰ってばかりじゃ嫌だもの」
「そんなこと、気にすることないのに」
「私が気になるのよ。レインにはいつも私が嬉しくなることばかりしてくれるじゃない」
「それは・・・・・・」
「私、レインが何か考えて喜ばせてくれること、すごく嬉しいわ。だからこそ、こういう時に何かしたいって思うのはダメかしら?」
上目遣いでアンジェリークがレインを見上げると、レインは困ったように微笑む。
肩を竦めてレインは小さく息を吐いた。
「オレはいつだってお前から色んなものを貰ってるんだぜ」
「え?」
「一番はお前の笑顔だ。お前の笑顔があるから、オレは何かしたいって思うんだ」
何をやるにしてもアンジェリークの笑顔があるからこそ自分は頑張れる。
アンジェリークの笑顔がなかったらそんなこと考えもしないということばかりあるのだ。
レインの活力の源はアンジェリークだといっても過言ではない。
「レイン・・・・・・私も、同じよ。レインがどんなこと考えてるのかしら、どんなものが一番喜ぶかしらっていつも思ってるわ」
胸弾むような想いを抱えてアンジェリークが微笑み返すと、レインもまた満面の笑みで返す。
二人とも気持ちはいつもお互いのことを考えてばかりだったのだ。
それに気づいて、少し照れくさいような、でもどこかでそれを喜んでいる自分がいるのもまた事実。
「ねぇ、レイン」
「うん?」
「私たち似てるのね。考えてることも、それを実現しようとすることも」
「そうだな、それは―――」
レインはアンジェリークの耳元で答えを口にする。
その答えにアンジェリークの顔はじわじわと赤く染まっていき、レインもまた俄かに頬を紅く染めた。
『―――アンジェリークのことが好きだから』
「もう、レインってば・・・・・・」
「間違ってないだろ?」
レインの言葉にアンジェリークは素直に首を縦に振る。
アンジェリークもまたさらりと流れる風のように言葉を告げた。
「私も大好きよ、レイン」
大好きなあなたへ、感謝の言葉と想いを伝えよう。
いつも大切なものをくれるあなただから。
終