あなたに出会えたこと、それは何よりの幸せ。
空の青さに思わず瞳を細める。
眩しい陽の光はどこか心地良くて思わずアンジェリークは身体を伸ばした。
緑が息を吸う瞬間はこうやって伸びをして息を吸う時に似ていると思う。
「あぁ、花が咲いているわ」
道の端に小さな花が咲いていることに気づいて、アンジェリークは微笑んだ。
その様子を見ていたのはアンジェリークと同じ仕事をしている青年。
若くしてその才能を発揮させた科学者――それが、レインだった。
「そうだな」
レインはアンジェの言葉に頷く。小さな命が芽吹いているのを見るのは悪くない。
むしろすがすがしいものを感じるのだ。
「小さな花が生きるために根を張って、風になびいて、太陽の光を浴びて、
きっと気持ち良いんだろうなぁと思うの」
「アンジェ?」
急に話し始めたアンジェリークにレインは首を傾げる。
「ね、仮に私が花だったとするじゃない? レインは風だったとするの」
「? あぁ」
「もしそうだったら、レインは私に気づく?」
アンジェリークは真剣な眼差しでレインの碧い瞳を見つめていた。
レインは漸くアンジェリークの言わんとすることを理解し、ふっと瞳を細める。
「そうだな・・・・・・それでもオレは気づいてたと思う。アンジェなんだと」
「レイン・・・・・・」
瞳が交わされるとレインもアンジェリークも小さく微笑んだ。
たとえどんな姿でも、きっとあなたに気づくだろうと思うから。
花でも風でも、小さな犬でも空を飛ぶ鳥でも。
どこかできっと気づいている。
ここで巡り会えたたった一人の大切な人がいること。
何よりも守りたいと願うその人に。
「アンジェ」
レインが自分の大きな手を差し出すと、アンジェリークははにかみながらその手を握った。
「行きましょう、レイン」
重ねた手に広がる熱を確かめながら肩を寄り添って歩く。
道の先にある未来を見つめながら。
終