ざあっと降り注ぐ雨を軒先で見つめながら望美はため息をついた。
こんなに降るなんて予想だにしていなかったのだ。
確かに家を出る時に景時から「今日は雨が降りそうだからね」とは言われたけれど。
「すっかり濡れちゃいましたね」
「あぁ、神子は寒くないか?」
「大丈夫です。元気っこだもん」
「そうか」
そう呟いて敦盛は微笑んだ。呆れて苦笑いと言ってもいいかもしれない。
「敦盛さんこそ大丈夫ですか?」
「あぁ、私は大丈夫だ。気にしないで欲しい」
そう言うと望美は敦盛の片方の手を捉え、握りしめた。
さっきから少しだけ震えていた敦盛の手。
寒いのだろうことだけは理解できる。
「そんなことないじゃないですか、冷たいですよ?」
「いや、私は・・・・・・」
「いいから、手を繋いだままでいましょう」
その方があったかい。
望美はしとどに降り注ぐ雨の雫を見つめながら秋という季節を感じる。
敦盛は下へと視線を向けたままだった。
「敦盛さん?」
敦盛を伺うように見つめながら望美は手を握る。
「いや、あったかいと思って」
「だったら、良かった」
くすっと微笑んで望美は敦盛を見つめると、ふっと顔を上げた敦盛の視線が絡んだ。
優しい眼差しの奥に秘められた、寂しさを。
こういうことで少しでもあなたの哀しみをほぐせたなら。
雨は降り注ぐ。
少しだけ寒くなった秋頃の話。
これから先に待ち受けている運命を知るのはもう少し先のこと。
終