霞む月夜が少しばかり明るく照らす、そんな日に。
思い起こされるのは、かつて一緒にいた親友との日々。
多分、きっと変わらないだろう親友のことを思い出す。
大事な人を失ったかもしれない恐怖と。
哀しみが交差している中で、先を見てと諭した親友。
名前の通り、望むことを自分の手で努力する人だった。
「ねぇーね、さーく」
「何?」
「どうしたの?ぼぅっとしてるよ?」
幼い顔が目の前に映し出されて、はっとした。
「あ・・・・・・いけない。ごめんなさい」
「いいの。さく、疲れてる?」
「どうかしら? ただね、こんな月の夜には大事な人を思い出すのよ」
くすっと笑って、その幼子を見つめる。
きょとんとしてその幼子は朔を見つめ返した。
「私にとって、とても大事な友達なの」
「ふぅーん」
そう言うと、幼子は布団へと潜り込んだ。
もう、遅い時間。少しだけうとうとし始める幼子を見つめ、朔は思い出していた。
「望美」
朔は呟く。
「ねぇ、今あなたは何をしているの――――?」
望美はふぅっと一つだけため息をついた。
かれこれこの世界に戻ってきて数日が経つ。
大事な人たちとの別れ。この世界に戻ってきた今、とても懐かしいもののように思えた。
「朔、大丈夫かな?」
親友はとても傷ついていた。
大事な人を無くすと言う、悲しさ、切なさ。
それを振り切って、前を見据えたその瞳を望美は忘れない。
「朔に会えて、良かったよ」
望美が最後に朔に言った言葉だった。
何でもしゃべれて、それでいて大事な友達。
こっちの世界にだって親友はいる。
けれど、色んな意味でも最もしゃべっていた、気持ちを共有できたのは朔だけ。
「朔、幸せになって――――」
望美は願う。
親友の幸せを、もう哀しみで埋めることのないように、と。
きっとあっちにいる皆が力になってくれているだろうことだけはわかるけれど。
「幸せに笑う姿が見たいんだから」
もう一度笑って、その笑顔でみんなを幸せにして。
きっとあなたにはできるはずだから――――。
終