::: 線香花火 :::

武一家の話。
激しくネタバレ。
ゲーム後の設定は、
MY設定です。


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A Moveable Feast
 

小さな火の花が夜の闇に光るのを皆で見守る。
今日はあの日から一年と数ヶ月経った夏のことだった。

「きれーい。ね、お兄ちゃん」

「そうだね。あ、沙羅、次のは?」

「いるいる。ちょうだい」

二人の息子と娘のやり取りを見ながら武とつぐみはくす、と笑っていた。
2035年、あの一年前の事故から皆の生活は目まぐるしく変化する。
つぐみは武と沙羅と暮らし始め、ホクトは今現在の親との生活を維持しつつも、
週末には家に来るようになっていた。

「・・・・・・・どうした? つぐみ」

ぼんやりと小さな花火を見つめるつぐみに気づき、武は言葉を問う。
つぐみはううん、と首を横に振って言葉を口にした。

「夢なのかな・・・そう、思ったの」

「夢じゃないだろ」

「そうなんだけど・・・・・・あの十七年は苦しくて、何で私生きてるんだろうってずっと思ってたから」

「・・・・・・つぐみ・・・・・・」

幸せすぎてね、怖いんだ。
ぽつりと呟くつぐみに武はそっと肩を寄せる。
つぐみの重くのしかかる辛さは武にはわかってやることはできない。
沙羅の辛さも、ホクトの辛さも。
でも皆、それぞれ幸せになる道を求めて一つの道を歩き始めていた。

「ごめんな、つぐみ」

「いいのよ。あなたはココを助けてくれた。皆だからここに生きているわ」

「そうだけど・・・さ」

「謝られちゃうと私の辛かった十七年間は何のためにあったのかわからないじゃない」

ね、とつぐみは武を見つめて微笑む。

「そうだな。そうか」

「そうよ」

きゅっと武はつぐみの手を取ると握り締め、つぐみはそれに応えるように握り返す。

「ね、パパ、ママ、一緒にやろうよー」

「はいはい。わかったわ」

つぐみと武は寄り添いながら二人の子供に微笑みで応える。
掴んだ未来に微笑みながら夜の闇の中にある小さな線香花火を見つめていた。








未来設定です。やっぱり未来設定で、小さな幸せの風景を書くのが好きだなーと。
そんなわけで、小話1話終了です。やっぱり武とつぐみの家族は好きですね。