■おしゃべりをしよう1(日野+森+天羽+冬海)
女の子達の噂はどこまでも楽しいから。
お茶をしながら話しましょう♪
「んで、香穂はどうなのよ。付き合ってる人いるの?」
突然天羽菜美が顔を前のめりにして香穂子に問いかけた。
「へ? わ、私?」
「うん。最近さー、色々と噂を聞くのよね。この間火原さんと一緒にデートしてるの見たとか」
「えええっ!?」
香穂子は焦って後ずさる。冬海は落ち着かない様子でその様子を見ていた。
「や、やだなぁ、あれは・・・・・・その、えっと」
「白状しなさいよ。アンタ、火原さんのこと好きなんでしょ?ねぇ、ヴァイオリンロマンス成就しそう?」
確信の笑みを浮かべて菜美は香穂子に促し、香穂子は冷や汗をかく。
いや、もう笑えないから、と香穂子は突っ込みたくなるも、言葉を重ねれば重ねるほど墓穴を掘りそうで何も言えなくなった。
ただでさえインタビューに慣れてる天羽のことだ、言葉のボキャブラリーは断然上なのだから。
「ヴァイオリンロマンス・・・って・・・・・・」
苦笑いを浮かべる香穂子に天羽はふふ、と意味ありげに笑って香穂子の伴奏者である森へと切り返す。
「森さんから見たらどう? 火原先輩に変化はある?」
同じ音楽科、しかも火原とは面識が多少なりとある。
うーん、そうねぇと呟いて「あ」と一言森は思い出したように呟いた。
「この間まで暗かった顔が急に明るくなったよ。それは皆言ってた」
「へぇ。それはやっぱり香穂の効果?」
「じゃない? 皆言ってたもの。日野さんと何かあったんだって」
それを聞いて驚いたのは香穂子の方だった。
「ええっ!? 何でそんな話になってるの!?」
当の本人達だけ気づかず、周りの人だけが知る二人の雰囲気。
それは突然吹いていた風の向きが変わったかのように。
そして同じその空気を持ちはじめた二人に誰もが気づく。
「・・・・・・知らぬは本人達だけ、ってね」
「そうねー。とりあえずセレクションが終わるまで楽しみにしてるわ」
森と天羽の一言に冬海は苦笑いを浮かべる。
当惑している香穂子を置いて、皆くすっと笑っていた。
女の子たちのおしゃべりは飽きることを知らない。
終