目が合った。
その瞬間その瞳はあなたを捕らえて離さない。
「良い天気だねー」
そう言って太陽のような笑顔が返ってくると香穂子は思わず満面の笑みで返す。
「ホント、良い天気ですよね」
「うんっ!天気が良いと嬉しくなっちゃう」
まるで子供のように楽しそうに言う火原を見て香穂子はその笑顔が愛おしくなった。
いつだってこの笑顔に支えられてる。
「良かったね、卒業式の日に晴れて」
「はい。来月からまた和樹先輩の後輩ですよ」
「だよね。おれ、すっげー嬉しい」
「私もです」
待ちに待った卒業式、その帰り道、校門の前で待っていた火原と香穂子は一緒に手を繋いで歩く。火原は香穂子と手を繋ぐのが大好きらしく、どこに行く時も手を繋ぐことが多かった。
「あー、わくわくするなー」
「よろしくお願いしますね」
またオケ部にも入るので、そう香穂子が言葉を口にすると火原は前を向けていた顔を香穂子へと向きなおす。
「こっちこそ、よろしく!」
瞳が合った瞬間、二人の顔に笑顔が灯る。
午後の日差しは少しだけ暖かくて、多分頬の熱も全部それのせいにできるんじゃないかと香穂子は思って瞳を向ける。
二人の暗黙の了解。火原はそんな香穂子へと顔を近づけ、上目遣いのまま火原を見つめていた。
「香穂ちゃん・・・・・・目閉じて」
おれだって恥ずかしいんだってば、照れる顔を見つめて香穂子は笑う。
「和樹先輩」
「うん?」
「大好きだよ」
子供のような戯言かもしれない、けれど、今の香穂子の精一杯の言葉。
それ以上の言葉を持つ術がないから。
「おれも――――」
唇が触れる瞬間、言葉は唇に飲み込まれてゆく。
終